医療費抑制はさらに強化されるのか?

国の医療費抑制強化策

また新たな医療費抑制策に国が動き出しました。

かかりつけ医制度を強化して医療費抑制を図ることを目指しているようです。

 YOMIURI ONLINE(読売新聞) 
「かかりつけ医」以外受診は負担増…財務省提言
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20181009-OYT1T50110.html
 財務省は9日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、かかりつけの医師以外で受診した場合に患者の自己負担を増やす制度や、新薬の保険適用の際に費用対効果の検証を導入することなどを提言した。少子高齢化で膨張する社会保障費を抑制する狙いがある。
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かかりつけ医以外を受診した際には受診料の自己負担額を増額するという制度を検討しているようで、そのことでコンビニ受診やドクターショッピングを防ごうということが狙いのようです。

新たな制度になった場合の影響は?

これがうまく機能するのであれば、患者にとって次のようなメリットがあります。

・地域のかかりつけ医が患者の健康状態に関してトータルでサポートすることができる。

重複した検査や投薬による医療費の無駄を省くことができる。

・”良い医師が見つかれば”身近に相談できる医師に様々な健康上の相談をしやすくなる。

うまく機能しなかった場合には次のようなデメリットを患者にもたらすでしょう。

・医療機関が「かかりつけ医」となるべく患者の囲い込みを図るようになり、医療上の必要性は低いが患者の希望に沿うような検査や投薬が行われ、結局医療費の抑制が進まない。

・患者が”良い医師”に出会えなかった場合にかかりつけ医を変更するハードルが上がる。

・セカンドオピニオンとしての他の医療機関に掛かるハードルが上がる。

制度を開始するにしてもしばらくは調整しながらということになるのでしょうから、しばらくは医療機関にとっても患者にとっても振り回されることになる可能性もあります。

「かかりつけ医」に適した医師とは?

もう一つの問題は、いわゆるジェネラリストと言われるような頻度の高いありふれた病気を専門領域にとらわれずに診断・治療できる医師の要請が重要になってくるということです。また、緊急性や重症度などを見極めて適切なタイミングに適切な専門病院へ紹介することのできる医師が求められます。

これまでのような専門家領域による縦割りの医療とこの制度は馴染まないでしょう。昔の「近所の町医者」のような医師の需要がますます高まることが予想されます。

最近ではずいぶん減りましたが、

「うちは整形が専門だから風邪は診ない。内科へ行ってくれ。」

といった自分の専門領域のみにこだわるような開業医は経営が成り立たなくなり淘汰されるでしょうし、勤務医でも自分の専門領域しか診療しない医師は冷遇されるような時代になるかもしれません。「クリニックの医師はジェネラリストになってくれ。『○○が専門』なんてことは専門病院に勤務する医師だけにしてくれ。」と国は言っているのでしょう。

また、医師の側にも患者に「かかりつけ医」として選んでもらうためにはサービス業としての基本的な心構えのようなものを身に着けることが必要とされるでしょう。そもそもこれは現在の制度のもとでも当たり前のことなんですけどね。

「かかりつけ医」制度で患者も医師も意識の大変革が起きる?

このように「かかりつけ医」制度のさらなる強化で患者の受診行動や医療機関の意識に大変革が起きるかもしれません。私達は大きな分岐点に立たされているのかもしれませんね。

いや、在宅医療制度の導入などを考えてみても既にその大変革の中にいるのでしょう。うまく適応できた医療機関は生き残り、そうでない医療機関は衰退するでしょう。市場原理としては当然ですが。医師としては全人的に「人」を診ようとする、いわば「医」の原点に返る視点を持つことができ良い部分もあるのではないでしょうか。大きなチャンスにもなりうる変化ですので、今後の行方が楽しみです。[/read]

 

投稿者: Dr.ひろ

内科医として大学病院、地域中核病院、小規模クリニック、在宅医療、自由診療と様々な医療を経験。大学病院時代は基礎研究にも従事。現在はフリーの内科医として都内で診療にあたる。 みなさんが健康を意識し維持できるように、医療・健康に関わる情報を解りやすく身近なものとして提供したいと考えています。そのための手助けになれれば嬉しいです。/ 医師(日本内科学会認定内科医、日本血液学会血液専門医)/ 医学博士(内科学, 東京大学)/ MBA(経営管理学修士, 名古屋商科大学)/ 産業医/ 合同会社スケールフリー代表社員